Diorama Mapは2003年から現在に渡り様々な都市を歩き、鳥瞰、仰視、あるいは路上など様々な場所から撮ったすべての断片を、地図に即して一枚一枚キャンバスに繋ぎ合わせて制作された作品である。記憶を再構築することで、都市の放つ特異性や、都市が垣間見せる”現在”の姿をイメージ化している。 

そこでは地図における記号的な表現とは全く異なる、具体的事物や出来事が写された写真を用いながらも、再び地理学的な表現へと転換することによって、自身の経験と記憶の集積による都市の姿を表現しようとしている。

そうして出来上がってくるものは決して正確な情報を伝えるための地図ではなく、一人の人間がその街をどのように見て、どのように歩いたかということの記録の痕跡であり、一つの認識の表れであると共に、エネルギーの縮図としての都市の姿である。

私は自身の身体を用いることにより、都市を記号化された情報や物質的な建造物で構成された個体として捉えるのではなく、そこに住む人間の経験や行動、あるいは歴史や記憶が積み重なる、有機的で瑞々しい一つの生命体として捉えようと試みている。

New York

Feb - Jul 2006

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Shang-Hi